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犬の学習・行動原理 消去の原理・オペラント消去

今回は犬の学習・行動原理の1つである消去、厳密にはオペラント消去についてのお話しです。

行動原理 オペラント消去とは

消去とは、オペラント行動を弱めるプロセスの1つです。

一定期間強化された行動が強化されなくなり、その結果、その行動が起きなくなるというものです。

消去の定義

  1. それまで強化されてきた行動が、
  2. もはや強化的な結果事象をもたらさなくなり、
  3. その結果、その行動がそれ以降生起しなくなる。

連続であれ間欠的であれ、行動が強化されていればその行動は持続します。

しかし、行動が強化的な結果事象をもたらさなくなれば、その犬はその行動をしなくなります。

強化されなくなることによって、その行動が起きなくなることを、消去されたと言います。

消去バースト

消去の過程で見られる特徴として、消去バーストというものがあります。

消去バーストとは、行動が強化されなくなるとその行動は減少し、最終的に起きなくなる前に、一時的に「頻度」「持続時間」「強度」などが増大することです。

行動が強化されなくなったとき、新しい行動(いままでその状況で起こったことのない行動)が一時的に生じる、というパターンもあります。消去バーストの最中に起こる新しい行動には、情動反応が含まれることもあり、特に動物や幼いこともでは、消去が適用されるとしばしば攻撃行動がみられる傾向があります。

消去バーストは消去の状況のなかで自然に生じる現象です。

自発的回復

消去の過程で見られるもう1つの特徴が自発的回復です。

消去された行動が生じなくなってしばらく経った後に、その行動が再び出現することがあります。これを自発的回復と言います。その行動が消去される前と同じような状況で再び生起する現象で、消去の状況になかで見られる自然な現象です。

自発的回復が生じても、そのまま消去手続きを続けていれば(強化されなければ)、その行動はそれほど長く続きません。

しかし、自発的回復が生じた時に、再びその行動が強化されてしまうと、消去の効果はほとんど失われます。

消去手続きのバリエーション

犬の学習・行動原理 強化の原理・オペラント条件付けで説明したように、強化には「正の強化」「負の強化」という2つのプロセスがあります。どちらの強化を受けていたかによって消去手続きの方法が異なります。

正の強化を受けていた場合には、結果事象は行動が生起した後に提示されたり付加されたりしました。よって、正の強化を受けてきた行動の場合は、行動が生起した後に提示されてきた結果事象が提示されなくなれば消去されます。

負の強化を受けてきた場合には、その行動によって嫌悪刺激が取り除かれたり、その刺激を回避できたりしました。よって、負の強化を受けてきた行動の場合には、行動が生起しても嫌悪刺激からの逃避や回避ができなくいなると消去されます。

消去に関する誤解 無視と消去まったく別物

消去についてよく見られる誤解で「消去手続とは、単にその行動を無視すればよい」というものがあります。これは多くの場合不正解な言い方です。

消去とは、当該行動の強化子が撤去されるということ意味しています。

なので、問題行動を無視するという方法は、飼い主の注目が強化子として働いている場合のみ正しいという事になります。

例えば、テーブルの上に乗るという行動は、テーブルの上の食べものを手に入れることによって強化されます。もし飼い主がこの行動を無視してもその行為はなくなりません。

消去に影響をおよびす要因

消去に影響を及びス要因は2つあります。1つは消去を行う前の強化スケジュール、もう一つは消去を行った後の強化機会です。

強化スケジュールが与える影響

強化スケジュールは、消去によってその行動が、急激に減少するか徐々に減少するかを決めます。連続強化では、行動が生じるたびに強化されました。間欠強化では、行動が生起してもいつも強化子が提示されるわけではなく、ときどき強化をうけました。

連続強化を受けていると、強化が停止された後、その行動は急激に減少します。

間欠強化を受けていると、強化が敵視された後、その行動は徐々に減少します。

これは、ある行動がいつも強化されていた場合、時々しか強化されない場合と比べ、強化から消去への移行がより明確であるからだと言われています。

消去の前に間欠強化が行なわれ、消去されにくくなることを、消去抵抗が形成されると言います。消去の前に連続強化が行なわれていた場合には消去抵抗はほとんど起きません。

つまり、消去を行う場合には、その前に連続強化が行なわれている方が成功率が高いという事です。

消去開始後の強化機会が与える影響

消去の過程で再び強化を受ける機会があれば、行動の現象はより緩慢になります。これは消去手続開始後に間欠強化を受けたことになり、消去抵抗が形成されるからです。

さらに、自発的回復をした時に強化が行なわれることがあるれば、その行動は消去を行う前の水準まで回復してしまうこともあります。

まとめ

行動の基本原理のひとつ、オペラント消去の原理についてでした。

ドッグトレーニングにおいて、消去は比較的多く登場する方法です。

なるべくなら、困った行動を消去するのではなく、困った行動の原因を取り除いてあげるという方法を取りたいとは思っていますが、確かに消去が有効は場合も多々あります。しかし、正しい手順を知らないで消去を行うと、犬にとっても飼い主さんにとってもストレスが増えてしまいかねません。

というお話でした。最後まで読んでいただいてありがとうございます。